桜田通りファサード
大理石のグリッドを縦横に走らせたコンクリートの外壁には、各窓にパネルが設けられています。東から西へと移ろう太陽光にあわせて、東京デザインセンターのファサード壁面に影のパターンを作り出します。


大理石のグリッドを縦横に走らせたコンクリートの外壁には、各窓にパネルが設けられています。東から西へと移ろう太陽光にあわせて、東京デザインセンターのファサード壁面に影のパターンを作り出します。


デザインセンターを貫通するように、五反田駅前と建物背後の庭園を結びつける5層吹き抜けの大階段ガレリアが、ショールームのインテリアを劇場空間のように浮かび上がらせます。
イタリアの彫刻家、ミンモ・パラディノの作品。首の後ろについている「人間の頭」は、「生きとし生けるもの全ての中には精霊がこもっている」ことを表しています。もともと、ここにはシンボルツリーを植える予定でしたが、よりガレリア大階段を強調するため、ベリーニ氏の長年の友パラディノ氏にお願いしました。

各階のエレベーターホールをガラスで覆われたシリンダーで統一し、天頂部はガラスのドーム(クーポラ)でまとめて、水平方向のテラスに対して垂直方向の軸を設けています。EVホールのカーヴしたグリッド構成は、ベリーニが最も強調させた建築的要素です。

庭園側ファサードは列柱回廊とテラスをセットバックしながら6層重ねて、野外劇場装置のような空間を生み出しています。各テラスには73個のバラの鉢が配され、春から夏にかけてテラスをゴージャスな赤色で染めます。
| 建築デザイン | マリオ・ベリーニ(Mario Bellini) |
|---|---|
| 実施設計 | (株)大林組設計部 河津行隆 |
| 照明設計 | TLヤマギワ研究所 面出 薫 |
| サイン設計 | (株)テイ・グラバー 朝永徹一 |
| 施工 | (株)大林組 |
| 工期 | 着工1989年11月 完成1991年12月 |
|---|---|
| 床面積 | 11,874m²(3,598坪) |
| 構造規模 | 地上9階 地下2階 SRC造 |
| 建物用途 | 展示場・店舗・事務所 |
| 最高部 | 高さGL+34.5m |
| 駐車台数 | 42台(大型車、ハイルーフ車6台可能) |
| 地下立駐 | 深さGL-44.86m |
| エレベーター | 常用3台 人荷用30人乗1台 |
| 電気 | 受電6.6KV 予備・非常用発電機1基 |
| 空調 | 空冷ヒートポンプ方式 |
| 消火 | スプリンクラー、補助散水栓、消防隊専用栓 |
| 外壁仕上 | 打ち放しコンクリート、一部トラバーチン貼り |
| 主な内部仕上 | 共用部分/床:大理石、壁:イタリア左官仕上 EVホール/クーポラ半径7m、フロートガラス |

計画の重要性と難しい諸条件に心ひかれながら、建物に統一性と個性、そして深みを与えることを設計の目標としました。巨大なガレリアが建物を斜めに横断し、都会と内庭を視覚的に結び、全ての要素への導入となり、建物に強い力を与えています。中でも最重要の要素はガラス円柱のエレベーターホールで、庭側へセットバックするテラスを貫通しつつドームとなり、各層のテラスではイタリア式に並ぶテラコッタの鉢が古い日本の庭と呼応して象徴的です。
1935年、ミラノ生まれ。ミラノ工科大学で建築を学ぶ。イタリアのローカル企業であったオリベッティにソットサスとともに招聘され、デザイン力で同社を国際的な企業として成功させた後、カッシーナやヴィトラで家具デザインの名作を生み出すなど、イタリアのインダストリアルデザイン界の巨匠として世界にその名を知られている。建築については遅咲きとも言えるが、コモ湖畔のメッセ会場ヴィラ・エルバ、ミラノ見本市会場、など、90年代以降の活動は目覚しいものがある。
| マリオ・ベリーニの主な建築作品 | |
|---|---|
| 1990年 | ヴィラ・エルバ展示会議場(コモ・イタリア) AEM電熱パワープラントのオフィス棟(ミラノ・イタリア) |
| 1991年 | 横浜ビジネスパーク(横浜・日本) |
| 1992年 | 東京デザインセンター(東京・日本) リゾナーレ・ビブレ・クラブ(小渕沢・日本) |
| 1997年 | ミラノ見本市会場新地区新館(ミラノ・イタリア) |
| 1998年 | エッセン国際見本市会場新館(エッセン・ドイツ) ナトゥッツィ・アメリカ本社(ノースカロライナ州ハイポイント・アメリカ) 株式会社アルソア本社(山梨・日本) |
| 2003年 | ヴィクトリア州国立美術館改修拡張工事(メルボルン・オーストラリア) |
| 2008年 | トリノ文化センター(トリノ・イタリア) |

ヴィラ・エルバ

オリベッティ社のタイプライター